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片頭痛急性期治療薬の最新ガイド|頭痛外来 藤沢・辻堂・茅ヶ崎 辻堂脳神経・脊椎クリニック

片頭痛の効果的な急性期治療は生活の質を大きく向上させます。ここでは治療の目標設定から薬剤選択、使用上の注意点について説明します。

この記事の著者

辻堂脳神経・脊椎クリニック 院長

中川 祐

なかがわ ゆう

プロフィール

慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、済生会横浜市東部病院、横浜市立市民病院、済生会宇都宮病院、足利赤十字病院、日野市立病院にて勤務後、辻堂脳神経・脊椎クリニックを開院。 脳神経外科専門医・指導医 脳神経血管内治療専門医

01

早期の痛み改善

可能な限り早く、遅くとも2時間以内に頭痛が消失することを目指します

02

日常生活への復帰

片頭痛発作の日も普段と同じレベルの活動ができるようになることを目指します

03

副作用の最小化

締め付け感やだるさなどの不快な有害事象がない、もしくは最小限にとどめます

個別化治療の重要性

患者特性

患者さんの年齢や併存疾患、各薬剤に対する反応性など個人差が大きく影響します

頭痛の特徴

重症度や発症の速さ、持続時間、吐き気/嘔吐の有無など発作パターンにより選択される薬剤が異なります

片頭痛急性期治療の目標

急性期治療薬に万能なものはなく、個々人で最適な治療が異なるため、複数の治療を試すことが必要となることもあります。

片頭痛の層別治療戦略

01

軽度発作

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で対応し、効果が不十分であればトリプタン製剤へ移行します

02

中等度〜重度発作

最初からトリプタン製剤やラスミジタンを使用します

03

治療抵抗性

トリプタン製剤で効果が不十分な場合はトリプタン製剤とNSAIDsを併用します

04

トリプタン無効

ラスミジタンを使用します
将来的にゲパントやニューロモデュレーションによる治療が見込まれます

それでは各薬剤の特徴や注意点について説明していきます。

非ステロイド性抗炎症薬|NSAIDs

非ステロイド性抗炎症薬はnon-steroidal anti-inflammatory drugsからNSAIDsと略される解熱、鎮痛、抗炎症作用を有する薬剤の総称です。主な薬剤としてロキソニン、ボルタレン、セレコックスなどがあります。

01

痛みの改善効果

NSAIDsは服薬2時間後及び1日後の痛みが有意に改善することが示されています

02

副作用

多くは軽度および一過性の有害事象ですが、消化不良や悪心、傾眠、めまいなどが報告されています

03

長期使用の注意点

長期間の頻回な使用は腎毒性や心毒性のリスクがあり、また薬物使用過多による頭痛の原因にもなりえます

トリプタン製剤

トリプタン製剤はセロトニン受容体 5-HT1B/1Dに選択的に働く作動薬です

血管収縮作用

セロトニン受容体 5-HT1Bを介して拡張した血管を収縮します

神経炎症抑制作用

セロトニン受容体 5-HT1Dを介して硬膜三叉神経血管系の炎症を抑制します

随伴症状の改善

痛みだけでなく、悪心・嘔吐や光過敏、音過敏なども抑制します

トリプタン製剤の作用機序

片頭痛治療薬の種類は増加し続けていますが、片頭痛に特化した急性期治療の主役は依然としてトリプタン系薬剤です

トリプタン製剤の適切な使用タイミング

早期内服

頭痛が始まったらなるべく早急に、遅くとも1時間以内に内服することが推奨されます。

服薬遅延

約半数の患者さんで服薬タイミングが遅れていると報告されています。
以下は服薬が遅延した理由として報告されたものです。このような理由で飲み遅れている場合は医師と相談し、服薬が遅延しないように対応を考えましょう。

  • 本当に片頭痛発作かわかるまで待つため
  • 重度の発作の時だけ服薬したいから
  • 副作用が心配だから
  • 服薬が多すぎた時の効果が心配だから
  • 薬剤依存になるのが心配だから
予兆での内服はNG

ただし片頭痛の予兆である肩こりや疲労感、あくび、抑うつ感、感覚過敏などのタイミングでは使用しないでください。

頭痛が始まったことを確認したら、すぐに内服をするようにしましょう

トリプタン製剤の副作用と禁忌

副作用
  • 悪心
  • 胸部不快感
  • 動悸
  • 倦怠感
  • 傾眠
禁忌疾患
  • 心筋梗塞/狭心症、虚血性心疾患
  • 脳血管障害/一過性脳虚血発作
  • 末梢血管障害
  • コントロールされていない高血圧

トリプタン製剤が効かないことも!?

01

頭痛の再確認

いつもの片頭痛発作であったのか、いつもと異なる頭痛ではなかったか、また片頭痛という診断は合っているのか再確認します。

02

内服タイミングの確認

内服タイミングは適切であったか(頭痛開始から1時間以内が推奨)を確認します。49%の患者さんで内服が遅れていると報告されています。

03

吸収の問題

内服したが、嘔吐してしまったなど薬剤が適切に吸収されたかを確認します。

院長
院長

上記3つを確認し、「片頭痛の発作」に「適切なタイミング」でトリプタン製剤を使用し、複数回にわたり頭痛の改善が得られなかった場合は、そのトリプタン製剤は無効と判定されます。

トリプタンとNSAIDsの併用療法

01

高い有効性

トリプタンとNSAIDsの併用は単剤よりも効果が高いことが報告されています

02

優れた忍容性

トリプタンとNSAIDsを併用しても副作用は少なく、中止となるリスクは低いです

トリプタン製剤単独で効果が不十分な場合はNSAIDsとの併用療法が有効な可能性があります

トリプタン自己注射製剤

適応
  • 片頭痛もしくは群発頭痛
  • 日常生活に大きな支障をきたす重症発作
  • 頻回な嘔吐で内服ができない場合
注意点
  • 片頭痛であることをしっかりと判断できる必要があります
  • 経口薬より急激に血液中の濃度が上昇するため、新たな副作用の可能性があります
トリプタン自己注射製剤

ジタン系薬剤

ジタン系薬剤はセロトニン受容体 5-HT1Fに選択的に働く作動薬です

選択的作用

セロトニン受容体 5-HT1Fを介してカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)放出を抑制し、痛みのシグナル伝達を抑えます

血管への影響がない

血管収縮に影響を与えないため、トリプタン製剤が使用できない患者さんにも使用可能です。

タイミングが遅くなっても効きやすい

効果の発現が速く、内服するタイミングが遅れてしまっても効きやすいという特徴があります。持続時間も長いです。

トリプタン無効例にも効果が期待できる

トリプタン製剤が無効であった場合でもラスミジタンでは効果が得られることが示されています。

ジタン系薬剤としてラスミジタン(レイボー®)が日本では使用できます

トリプタン製剤とラスミジタンの違い

セロトニン(5-HT)受容体トリプタン製剤ラスミジタン
1B拡張した硬膜血管を収縮++
1D神経原性炎症を抑制++
1F三叉神経核の抑制+++
Nelson DL Cephalalgia2010;30:1159
Goadsby PJ. Prog Neurobiol. 2000;62:509
より作図

ラスミジタンの副作用と注意点

高頻度の副作用
  • ラスミジタンの臨床試験では100mg錠の内服後に64.4%で副作用が認められた報告されています。
  • 副作用の発現率は高いが、重篤な有害事象や死亡例の報告はありません
  • 副作用は複数回内服すると減少していきます。
副作用
  • めまい
  • 倦怠感
  • 傾眠

ラスミジタン内服後8時間は運転が禁止となります。

院長
院長

副作用の発現率から使用を躊躇われることも多いですが、有効性が高く、トリプタン製剤の弱点を補えるため使用方法を工夫すれば非常に有用な薬剤です。副作用も2回、3回と使用を重ねると軽減することが多いです。

その他の薬剤

片頭痛治療の選択肢は多様化してきており、NSAIDsとトリプタン製剤、ラスミジタン以外の選択肢もあります。

制吐剤

制吐剤の効果

制吐剤は片頭痛治療において、服用後1時間および2時間後の痛みの緩和効果が複数の研究で実証されています。吐き気の軽減だけでなく、頭痛自体にも直接的な効果があることが特徴です。

代表的な薬剤
  • メトクロプラミド
  • ハロペリドール
  • クロルプロマジン

ゲパント|Gepants

01

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬

ゲパントはCGRP受容体拮抗薬であり、片頭痛の新しい治療選択肢として注目されています。主な薬剤にリムゲパントとウロゲパントがあり、日本でも治験が進行中です。

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高い有効性

服用後2時間および1日後の痛みの改善率が高いことが臨床試験で示されています。血管収縮作用がないため、従来のトリプタン製剤が使用できない患者さんにも使用可能です。

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副作用の特徴

ウロゲパントは耳鼻咽喉に関連する有害事象が報告されており、特に喉の症状が多いことに注意が必要です。ただ全体的な忍容性は良好とされています。

オピオイド

オピオイドはモルヒネに類似した作用を示す物質の総称で、ケシに由来する薬物です。手術の痛みや外傷の痛み、がんの痛みなどに使用される強力な鎮痛作用を発揮します。

ただし頭痛ではオピオイドを使用しないことがガイドラインで推奨されています!

オピオイドの問題点

エビデンス

オピオイドの有効性を示す質の高い報告は限られており、ガイドラインで使用が推奨されていません。

副作用

消化器系の副作用が多く、嘔吐や便秘などが高頻度に発生します。これらの副作用は片頭痛の症状を悪化させる可能性があります。

薬物使用過多

他の鎮痛薬と比較して薬物使用過多による頭痛を2倍起こしやすいことが報告されており、慢性頭痛の悪化因子となります。

当院は毎日頭痛専門外来をおこなっております。お気軽に相談いただけるクリニックですので、我慢せずにお気軽に受診してください。

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