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群発頭痛|藤沢・辻堂・茅ヶ崎 頭痛外来 辻堂脳神経・脊椎クリニック

藤沢市にある辻堂脳神経・脊椎クリニックへようこそ。院長の中川です。

群発頭痛は片頭痛、緊張型頭痛と合わせて三大頭痛の一つとされています。有病率は約0.07~0.09%と1万人に7~9人程度の頻度とされています。同じ三大頭痛である片頭痛や緊張型頭痛と比較すると頻度の少ない頭痛ですが、重症度が非常に高いという特徴があります。ここでは群発頭痛の特徴や治療について説明します。

この記事の著者

辻堂脳神経・脊椎クリニック 院長

中川 祐

なかがわ ゆう

プロフィール

慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、済生会横浜市東部病院、横浜市立市民病院、済生会宇都宮病院、足利赤十字病院、日野市立病院にて勤務後、辻堂脳神経・脊椎クリニックを開院。 脳神経外科専門医・指導医 脳神経血管内治療専門医

群発頭痛とは?

群発頭痛はどんな頭痛?

群発頭痛は一年のうちの一定の期間に、まとめて(群発して)起こる頭痛です。群発頭痛の多くは毎日同じ時間帯に出現し、約8割の群発頭痛が連日同じ時間帯に出現することが報告されています。またほとんどの発作は夕方から早朝の間に起こり、特に就寝の1~2時間後や早朝に発生することが多いです。

群発頭痛は痛む部位にも特徴があり、片側の眼球の奥と周囲に激痛が走ります。必ず片側であり、毎日同じ側が痛くなります。あまりに激しい頭痛のために、多くの方が就寝中でも目が覚めてしまいます。

群発頭痛

自律神経症状って何?

群発頭痛は国際頭痛分類にて三叉神経・自律神経性頭痛(Trigeminal autonomic cephalalgias:TACs)の一つに分類されます。三叉神経・自律神経性頭痛の特徴は頭痛が片側のみであり、頭痛と同側に自律神経の症状が出現します。自律神経の症状としては①眼球結膜が充血する、②涙が出る、③鼻水・鼻づまり、④まぶたが腫れる、⑤おでこや顔の発汗などがよく認められます。

どんな人に起こりやすい?

群発頭痛は20〜40代に起こりやすく、男性が女性の3〜7倍多く発症します。また群発頭痛を発症する人は習慣的に喫煙していることが多いです。非喫煙者では小児期に受動喫煙の既往があることが多いことも報告されています。

群発頭痛は喫煙者に多い

群発頭痛の診断

群発頭痛の病態

群発頭痛が発生するメカニズムはいまだ明らかになっていません。脳の視床下部に発生源がある可能性が高いことは示されていますが、それ以上のことは解明されていません。複数の説が存在しています。

頭痛の持続時間・頻度

群発頭痛は一側の眼窩部または側頭部に極めて重度な痛みを15〜180分認めます。さらに同側に自律神経症状を認める、もしくは落ち着きがない、あるいは興奮した様子を伴います。このような頭痛が2日に1回以上の頻度で起こり、他の頭痛の原因が否定された場合に群発頭痛と診断されます。

画像検査

MRI検査にて脳正中部に病変がないことを確認することがヨーロッパの群発頭痛ガイドラインで診断のために必須とされています。

群発頭痛の治療

群発頭痛の治療は急性期治療と予防療法に分類されます。急性期治療は痛みを止める治療で、予防療法は痛みを起こさないようにする治療です。

急性期治療

酸素投与

酸素により頭痛が消失するメカニズムは未だわかっていませんが、フェイスマスクで7L/分の酸素を15分間吸入すると群発頭痛発作が止まることが示されています。
ただし群発頭痛発作がリバウンドすることがあります。また群発頭痛の方は喫煙者が多く、支燃性である酸素は危険性も含んでおり、取り扱いに注意いただく必要があります。

群発頭痛の急性期治療としての酸素吸入

スマトリプタン皮下注射

スマトリプタンは片頭痛に使用されるトリプタン製剤の一つです。トリプタンは脳血管の収縮や抗炎症作用に関与するセロトニンの作用を有し、セロトニン受容体アゴニストと呼ばれる薬剤です。日本の医療保険制度にて群発頭痛に対して使用できる唯一の急性期治療薬剤としてスマトリプタン皮下注射があります。群発頭痛に対して88%の頭痛消失率が報告されており、内服薬と比較して即効性も高いです。
海外ではトリプタン製剤の内服薬や点鼻薬による群発頭痛への有効性が示されていますが、日本では医療保険の適応がありません。

群発頭痛の唯一の急性期治療薬であるスマトリプタン皮下注射

予防療法

ベラパミル

ベラパミルは主に心筋や心臓を栄養する冠動脈に作用し、不整脈や狭心症の治療に用いられる薬剤です。群発頭痛においても頭痛を予防する効果が示されており、日本の医療保険で適応外使用が認められています。効果発現までに2〜3週間を要するため即効性のある予防薬であるプレドニゾロンと併用します。
副作用として徐脈や心不全、便秘や下肢の浮腫などに注意する必要があります。

プレドニゾロン

予防療法の標準治療薬であるベラパミルに即効性がないため、ベラパミルの治療効果が出現するまでの一時的な治療薬として使用されます。そのような背景から海外では予防療法ではなく「Bridge」という分類をされています。ステロイドであるプレドニゾロンは長期使用による副作用の懸念があるため、ベラパミルの効果が出現するまでの短期間のみに使用されます。約70〜80%の群発頭痛で改善効果が認められると報告されています。

その他

ベラパミルとプレドニゾロン以外にも抗てんかん薬や気分安定薬、不眠症治療薬、片頭痛予防薬による群発頭痛の予防効果が示されており、海外では使用を推奨されています。ただし日本の医療保険では現時点では適応外となります。
また同じく日本では適応外ですが、神経ブロックやニューロモデュレーションと呼ばれる医療機器による群発頭痛の予防効果が示されています。

生活指導

群発頭痛に対して非薬物療法である生活習慣の改善は頭痛を止める手段として有効ではありません。ただし群発頭痛の群発期に頭痛の頻度をより増加させないための生活上の注意点について指導を行います。

また群発頭痛が慢性化してしまう慢性群発頭痛は日本人では少なく、群発頭痛患者さんの4.2%とされています。慢性群発頭痛へ進展しないための生活指導を行います。

当院では日本脳神経外科学会専門医/指導医である院長が診断・治療を行っております。お気軽に相談いただけるクリニックですので、いつでもいらしてください。